3月1日(月)【オーストラリア12日目】
【その2】
反対側から来た、日本人のチャリダーは、ミッキー。
彼は、Brisbane(ブリスベン)から、
はるばる1300kmほどの道のりを、
自転車で北上してきたところだった。
俺と同じ、GIANT社の[Great jurney]という自転車に乗っている彼は、
自転車で日本一周もしたことがあるらしい。
ますます興味深いではないか☆
旅をしていると、普段の定住生活では経験できない
様々な出来事がある。
俺は、そんな特殊な経験談を、ほかの旅人から聞くのも話すのも大好きだ♪
「うわ~、もっとゆっくり話したいなぁ。」
先を急がなくてはいけない状況ではあったけど、
せっかくの出会いを、ほんのわずかな時間で終わらせてしまうのは、
あまりにももったいなかった。
なので、今日の移動のことはもう気にせず、
せっかくだから一緒にキャンプをしようと提案。
彼もそれに同意をしてくれたので、
少し手前にあった、Giruという町へ戻ることにした。
Giruは、とても小さな町だったけど、一応、安宿はあった。
二人で相談して、今日はそこに泊まろうと思っていたら、
「コンニチハ!」
オーストラリア人のおっちゃんに、日本語で声をかけられた。
俺たちが近づいていくと、おっちゃんは、
手招きをしながら、自分の家の庭へ入っていく。
「なんだなんだ??おもしろいおっちゃんだな♪」
そう思って、招かれるがまま、おっちゃんについていくと
「今日はここへ泊まっていいぞ。」
と、いきなりの一言。
まだ一言二言しか言葉を交わしていないのに、
あまりに突然な誘いで、正直、最初はかなり警戒心を持っていたけど、
そのおっちゃんが、
「俺は画家なんだ。アトリエにテントを張っていいぞ。」
と言ったのを聞いて、なんだかちょっと納得した。
これは、俺の個人的な持論だけど、
「画家(芸術家)には、あまり悪い人はいない。」
というのがある。
全然根拠はないけど、自分の今までの経験上、そうなのだ。
(この前お世話になったジェニーさんも画家だったし♪)
ということで、今晩は、ミッキーと二人、
そのおっちゃんの家にお世話になることにした。
ミッキーと出会って1時間後のこと。
まさかの出会いの連続である☆
シャワーを借りてさっぱりしたあと、
夜はずっと、そのおっちゃんとの会話が続いた。
おっちゃんは、結構熱い人で、話題の半分以上は
第二次世界大戦と日本の捕鯨に関してだった。
恥ずかしい話、俺はその両方のトピックに対して、
おっちゃんよりもかなり無知であった。
「日本人は、どうしてそんなに自分たちのことを知らないのか。」
歴史的な面に関しては、教育上の問題もあるけど、
自分の無知さが恥ずかしく思ったのと、
他の国からみる日本の印象を知って、
なかなか考えさせられた夜だった。
おっちゃんとの会話が終わり、ミッキーとも夜中まで話をして、
いろんなおもしろい体験談を聞くことができた♪
(ほんとは、もう一晩話す時間がほしいくらいだったけど。)
3月1日(月)【オーストラリア12日目】
【その1】
今日は、朝8時半に、お世話になったTownsvilleのお宅を出発。
二泊も泊めていただいた上に、お弁当にと、
ピザにスパゲッティ、ソーセージやパンに、
冷たい水まで持たせてくれた。(:_;)
温かいおもてなしとご親切、本当にありがとうございました!(^0^)/
さて、今日の目的地はHome hillという100km先の町。
Townsvilleの街観光は、さらっと切り上げて、
さっさと進まなくては。(~.~;)
*あ、オーストラリアでの、これからの大まかな予定はというと、
3月18日までには、Gold coastへ行って、
日本で紹介していただいた方に会いに行き、
20日には、日本から友達が旅行で来るので、それに合流。
Gold coastでしばらく過ごした後は、
Melbourneまでの1800kmを1ヶ月以内に進んで、
ウィルに会いに行く予定。
おそらく、そこがオーストラリアでの最終目的地になるだろう。
本当は、そのあとにも、ポートオーガスタに会いに行きたい人がいたんだけど…。
それは、時間の都合上、無理そうになってしまった。(:_;)
(よっしーさん、本当に申し訳ありません。)
"時間の都合"というのは、
4月26日に、ニュージーランドへ渡ることになったこと。
オーストラリアには、半年~1年いる予定だったけど、
いろいろあって、たった2ヶ月の滞在ということになってしまった。
その辺の事情は、ここであまり語れないけど、
自分にとっては全然嫌なことではなく、
「旅をしていると、やっぱりいろいろなことがあるなぁ。」
という感じ♪
とまあ、先の話は置いておいて。
とにかく、今は、Gold coastを目指して、
ほぼ毎日、100kmの道のりをこなしていかなければならないという、
結構忙しい旅の状況にある。
(あと18日で1400kmほど残っているから。)
で、また、今日の話。
Home hillを目指して、Townsvilleを10時半頃出発した。
今日は曇り空だが、雨は降っていなくてラッキー☆
順調に、先へ進んでいた。
と、Townsvilleから50kmほど進んだところで、
反対車線に、一台の自転車が見えた。
(町と町の間の幹線道路で、自転車を見かけることは、まずない。)
そんなに大きくはないけど、荷物もキャリアに積んであって、旅人のようだった。
「あれは!絶対に仲間だ!!」
そう思ったのと同時に、向こうから手を振って、
こっちに近づいてきた。
「やあ!」
明らかに、日本人だった。
→続く。
2月27日(土)【オーストラリア10日目】
【その2】
午後3時半。
Townsvilleまでは、残り70km。
今日は雨が降っているし、暗くなってからも走るのは嫌だったから、
たどり着かなかったら、途中で適当にキャンプするつもりだったけど…
先ほどの"幸運なお誘い"が、
「こんな幸運な出会いを、無駄にしてたまるか!」
という、強いエネルギーを俺に与えてくれた☆
そこからは、一心不乱にひたすらこいだ。
最後に100km以上自転車に乗ったのは、
4ヶ月くらい前だったので、
久しぶりの長距離は、背筋が疲れてハードだったけど、
また今日も新たな出会いが待っているかと思うと、
俄然、力が湧いてきた!p(^へ^)q
道はただ、ひたすらまっすぐ。
でも途中、雨が大雨過ぎて笑っちゃったり、
カンガルーが跳んでいたりして、退屈はしない。
午後7時。
ようやくTownsvilleの町に着いた。
あとは、教えてもらった道順で、お家まで行くだけだ。
道順を記してもらった地図はかなり正確でわかりやすく、
絶対にたどり着ける自信があった。
途中途中で目印を確認しつつ、
「もうすぐビール!もうすぐ新しい出会い!!」
と、わくわくして逸る気持ちを押さえながら、
ひたすら急いでペダルをこいだ。
すると、目印だった川を渡ったところで、
一台の車が停まっていて、横で手を振っている人がいた。
「あ!さっきのお父さん!!」
そろそろ俺が来る頃だろうと予想して、
わざわざ様子を見に来てくれていたようだ☆
残りあと1kmほどの道順を確認して、また自転車を走らせた。
そして、午後7時半。
ようやくお家に到着した!
雨でびしょ濡れだった体をシャワーできれいにさせてもらうと、
おいしいビールと、おいしいご飯が待っていた☆
「今日の出会いに、乾杯~☆」
ということで、お酒を飲みながら、
自己紹介から始まり、お互いにいろいろ話をした♪
こちらで飛行機のパイロットをしているお父さんと、
広島県出身のお母さんに、かわいい子が二人。
そして、おばあちゃんと叔父さんという顔ぶれだった。
俺に声をかけてくれたお父さんは、さすが、心の広いオーラを感じる人で、
趣味や職業などがとても多彩な人だった。
「なんでも、まずは"やってみる"っていうことが大事だと思うよ。」
とお父さん。
「まさにその通りですね!!」
俺はお父さんの話に全く同感であり、
すごく共感できる部分がたくさんあった♪
「オーストラリアは物価が高くて、こんなごちそうは滅多に食べられませんから、めちゃくちゃ幸せです!」
というと、
「じゃあ、ここでしっかり栄養をつけていってね。」
とお母さん♪
さっき出会ったばかりの自分に、こんなによくしてくれるなんて…
ほんと、旅は感動の連続だ☆
お腹いっぱいご飯を食べられ、
おしゃべりをしながら楽しくお酒を飲み、
屋根も壁もあって、涼しく快適な部屋で眠ることができる。
今の自分には、これ以上に幸せなことは1つしか浮かばない。
それは、自分が"あちら側"の人間になること。
やりがいのある仕事に、守るべき幸せな家庭を持ち、
他人に優しくする余裕を持って、生活を送ること。
今、自分がやるべきことは、自分が夢に見ていた
「世界旅行」をすることだけど、
人生で一番ほしいものは、"こんな未来"だなぁと思う。
そんな温かさを感じた、いい一日だった☆
2月27日(土)【オーストラリア10日目】
【その1】
今日は、Inghamにある、快適なバックパッカーズでの目覚め。
10時のチェックアウトギリギリまでくつろいでから、
雨の街へ出かけた。
マックでホームページの更新をしたり、メールを送ったりして昼まで過ごし、
12時にTownsvilleへ向けて出発。
外はまだ雨だったけど、今日はTownsvilleまで111kmの道のり。
明るいうちに着くかどうか、ギリギリの時間だった。
だだっぴろい平地を、見えなくなるまで続いている道路を
順調に進んでいく。
信号などあるはずもなく、ひたすら「こぎ放題」である。
ラッキーなことに、雨は午前中ほど強くはなかった♪
40kmほど走ったとき、インフォメーションセンターを兼ねた、
マンゴー農園があった。
ちょっと疲れてきたし、
「果物が安く売ってないかな?」
と思い、寄ってみることに。
自転車を停め、建物の脇にあった地図をみていると、
すぐ横の駐車場に一台の車が停まった。
「○△は■☆※◇◎よね。」
ふと聞こえたその車からの会話が、
日本語っぽいことに気づいた。
Inghamには2日間いたけど、日本人には一人も会わなかったので、
ちょっとびっくりして、車の方に振り返って見た。
やはり、顔つきが日本人のように見える、家族連れの人たちだった。
と、あちらの方から、
「日本人の方ですか?」
と声をかけてくれた。
(どうやら、こっちが日本語に反応したのがわかったみたい。)
「はい。今、自転車で旅をしているんですけど、雨が多くて困っちゃいますねぇ。」
そんな会話を少しして、その人たちは店の中へ。
俺は、十分休憩できたからもう出発しようかと思ったけど、
店頭にランブータンが1個10cで売っていたのを見つけたので、
それを買いに店に入った。
ついでに、近くの観光情報を見ていると、
「どこからきたんですか?」
と、さっきの方たちに声をかけられた。
「メルボルンまで、友達に会いに行くつもりです。」
(この時点で、「自転車の旅をやめる」という選択は、延期することにしていた。)
そんな話から、少し、日本語での流ちょうな会話を楽しんでいると、
オーストラリア人のお父さんから、
「私たちはTownsvilleに住んでるから、もし家まで来られたら、今晩ビールをごちそうするよ。」
という、うれしいお誘いが☆(^^)!
さらに、
「ソファでよければ、泊めてあげるよ。」
とまで言ってくれた♪
なんと幸運なお誘い!!
もちろん、
「ぜひぜひ、よろしくお願いします☆」(^0^)/
張り切って答えた♪
その後、お家までの詳しい道のりを地図で教えてもらい、
「では、また後ほど!」
と言って、一旦お別れをした。
さっき買った10cのランブータンを食べ、
約束のできたTownsvilleを目指し、
雨の中を力強く、また自転車をこぎ始めた。
2月26日(金)【オーストラリア9日目】
今日は、夜中に猛烈な豪雨にみまわれた。
雨と風が強すぎて、テントの中にかなり水が入ってきた。
でも、どうにもできないので、ひたすらガマン。。。
濡れて不快なのは無視して、どうにか眠れたけど、
こっちに来て、毎晩雨がすごいので、
今日は宿に泊まろうと決めた。
朝、濡れたテントをたたみ、街へ戻るとまたまた豪雨。
今日はTownsvilleまで行くつもりだったけど、
大雨だし、昨日、「自転車の旅をやめる」と決めたので、
テンションが下がっていて、先へ進む気にならなかった。
「ケーン号とお別れするのは、寂しいなぁ。」
昨日、自転車の旅をやめると決めたときは、
ケーン号を、単なる"手段"として割り切って考えてたけど、
いざお別れするとなると、ものすごく切ない気分になった。
この自転車で、200日間以上旅をした。
しかし、それは、
"自転車で"
旅をしていたのではなく、
"自転車と"
旅をしていたということに気づいた。
コイツは、自分にとって、『相棒』のような存在だ。
ただの"道具"ではない。
オーストラリアの、名前も知らないような街に
置き去りにするのは、悲しすぎる。
そう思った。
「なんとかコイツとお別れせずに済まないかなぁ。」
郵便局へ行って、日本に自転車だけ送り返せないか聞いてみたり、
一旦自転車を置きに戻れないか、プランを考えたりしてみた。
が、どれも、時間と費用の面で問題が大きい。
やっぱり、コイツとの別れは、避けられそうもない。(:_;)
もうちょっと、納得できるお別れを考えながら、
もうしばらく一緒に走ろう。
夜、初めてバックパッカーズに泊まった。
外はやはり大雨。
宿に泊まることを選択して正解だった。
でも、部屋に一緒にいるケーン号を見ては、
悲しい気持ちになった。